毎日アイカツ!「第15話 クスノキの恋」

(記事作成日時:2021-05-16 20:28:39 +0900 JST)

概要

スペシャルオーディションを控えた星宮いちご, 霧矢あおい, 紫吹蘭, 有栖川おとめの4人. 前回のスペシャルオーディションにおとめ以外の3人で出場した際と同様にプレミアムカードを入手するため, 4人は担任のジョニー別府におとめお気に入りのブランドであるHAPPY RAINBOWのトップデザイナーである虹ケ原マコトへのアポイントメントを求める. しかしマコトは気難しく時間に厳しいことで有名だった. スペシャルオーディション当日になってもマコトには会えず諦めかけていたその時, おとめは学園長からマコトと4時に会えると告げられ, オーディションに間に合わないリスクを承知でマコトの元へ向かう. その道中, おとめは50年前の初恋の思い出のクスノキを探しているという老婆, 郁代に胸を打たれてクスノキ探しを手伝うことに. いちご, あおい, 蘭も助けに加わって郁代の記憶を頼りに町じゅうを探し回って聞き込みを重ねた結果, いちごが数年前の台風で折れて伐採されてしまった思い出のクスノキを発見する. おとめは郁代からのお礼としてクスノキの下で告白して断られた際に貰ったペアペンダントの片方を貰う. そうしているうちにおとめたちはマコトとの待ち合わせ時間を5分オーバーしてしまい, 機嫌を損ねたマコトからは一時はプレミアムカードを拒絶されたおとめだったが, おとめがマコトの父の持っていたペアペンダントのもう片方を持っていることを知り, 郁代が父が家庭の事情で断ってしまった初恋の相手であることを知る. 50年越しに揃ったペンダントにマコトは感動し, おとめにプレミアムカードを手渡す. スペシャルオーディションに間に合った4人は全員プレミアムコーデを身にまとってオーディションに勝利したのだった.


感想

ラブは永遠なのです.

前回のスペシャルオーディションは, 蘭のライバルである三ノ輪ひかりの助言によっていちごとあおいがプレミアムカードをゲットして勝利を収めました. 今回はおとめがプレミアムカードを手に入れる回ですが, やはりトップデザイナー, 癖のある人間揃いですね. しかしHAPPY RAINBOWはスイーツや果物をモチーフにした(というかもはやそれをあしらった)衣装ですので, てっきり女性がデザインしていると思いきや, まさかリーゼントでオネエ口調の男性だとは. 待ち合わせの時間に遅れたおとめたちに対して「時間を食べちゃってる」という表現をした辺りに, スイーツや果物と言った食べ物をモチーフにしている意識というか, 思想が少しだけ垣間見えます.

トップデザイナーであるマコトは時間に非常に厳しいことで知られているようです. なので上記のように時間に遅れたおとめたちに対して素っ気ない態度を取りますが, 最後はペアペンダントのおかげもあってプレミアムカードをおとめに渡します. ここではマコトの思想が非常に良く反映されていて, 時間をとても大切にしているマコトだからこそ, 50年という長い年月を経てもクスノキの君が父親のことを覚えていたことに強く感動しているのですね. そりゃ50年に比べたら5分なんて一瞬ですよ. おとめと手を重ねて「ラブは永遠なのです」というシーンも, 時間に厳しいマコトが発したからこそ永遠という言葉に重みがあって, そう言わせたおとめ(と郁代)は素晴らしいと思いました. マコトの(時間に関する)思想というかポリシーは良く分かりませんが, こうやってデザイナーとそれを着る人でお互いに共鳴しあうというか, ただ着こなすのではなく新たなインスピレーションを与えるような, そういう人にデザイナーは自分が仕立てた服を着てほしいと願っているのでしょうね. おとめは偉い!

ところで私がドキッとしたのは, 郁代がクスノキの下で告白して断られたその後を回想して「その後旦那と出会って, 結婚して, 3人の子供を必死に育てて, 巣立って, 旦那を看取って, ふと気が付いたらここで思い出を探してたって訳さ」という台詞です. こういうアニメで, こうして愛しい人の死を子供たちに伝える(意識させる)シーンがあるとは……心の準備が出来ていませんでした(私が単に, そのような台詞はない, という偏見を持っていたということです). 郁代がこのように「旦那を看取って」とさらっと口にした時に, この台詞に凝縮された初恋から今に至る50年を一つ一つ回想して懐かしむ郁代の表情を, まだ若いいちごたちは「しみじみとしている」ことは理解していても, 彼女が過ごした年月は想像し切れない, そういう雰囲気が伝わりました. これはとてつもない私見ですが, 小学生の悩みと言えばやはり死への恐怖だと思うので(?), こういうさりげない一言のうちには果てしない月日が横たわっていて, 更にその果てしない月日にも終わりが来るという事を意識してしまって身震いをするような, 勝手に部屋の照明が落ちるような驚き, またじっとしていられないという思いを抱くこともあると思います. いちごたちはアイドル活動に忙しくそのような暇はないと思いますが, 自分が生まれるよりもずっと前の巨大な年月が確かにあったのだということは何となく感じたのではないでしょうか. この事は, マコトの父親が既に亡くなっているという推測をさせるような描写――いちごたちもそれを理解していると思います――からも感じ取ることができます. (ところで, 50年程前に学生であったことから郁代は高々70歳程度ではないかと思います). アイドルという生き方をしてゆくと決めたのですから, いちごたちは他人よりもそういった「寿命」に敏感にならざるを得ないのではないかと思いますが, 今はただ舞台で光り輝くことのみを純粋に追い求めてほしいものです(おじさん並感).

16話以降も楽しみです. 次回は2話に渡るストーリーが展開されるようですが……?


その他(箇条書き)

・ダンスレッスンの動きが滑らかで驚きました. 良い作画!

・「ゾンビの盆踊りのほうがまだまし」って, これは映画「死霊の盆踊り」を意識した台詞でしょうか?

・今回もいちごが美味しそうにご飯を頬張るノルマを達成してゆく……カロリーをあおいが管理しているというのは良いですね, これは前回の正月太りの反省でしょうか?

・そしてカロリーを管理しているあおいの昼食はカルボナーラですか? 副菜が一つもないのは意外ですね. 蘭は和食, おとめはスイーツと大方の想像通りですね(おとめはスイーツとポップコーンが主食でしょうか, だいぶ偏食ですね……).

・いちごが断崖を登攀した回が回想されましたね(ところでその回の感想に書いたように私もボルダリングを始めようと思っていたのですが, つい先日はじめてボルダリングジムに行ってきました! 手の皮が全て捲れて驚きました).

・ジョニーにマコトと会えるよう頼むシーンで4人の身長順をやっと正確に把握しました, おとめ<あおい<いちご<蘭なのですね……と思って調べたら, 現時点ではあおいが152cmでいちごが151cmでした. 頭のリボンでいちごのほうが身長が上だと錯覚していたようです. ちなみにおとめは148cm, 蘭は158cmだそうです(Wikipediaを参照). ちなみにWikipediaはネタばれが怖いので目をほぼ閉じながらスクロールしました, でも高校生になってからの皆の身長も見てしまいました……時が経てばそりゃ身長も伸びますよね…….

・久しぶりにキラキラッターが登場しましたね. moonさんはその後の描写から美月さんでまず間違いなさそうです(清掃員の涼川ではありませんでした).

・既に登場していたと思いますが, 制服の上に羽織る外套は落ち着いた雰囲気で洒落ていますね. (いちごとおとめは襟を立て, あおいと蘭は折っています.)

・ところでクスノキを探し回ったこの町はどこなのでしょうか? 神社がたくさん, そして海沿いにあるという事実から尾道とか鎌倉を想定していましたが……? しかしスターライト学園が都心にあると仮定すると流石に尾道はないですね. 架空の町だとしてもモデルがあってもおかしくなさそうです.

・少女時代の郁代, ラブユーですね!


アイカツ