毎日アイカツ!「第16話 ドッキドキ!!スペシャルライブPART1」

(記事作成日時:2021-05-17 16:44:27 +0900 JST)

概要

トップアイドルである神崎美月のライブ・プレミアムシャイニーステージで美月と共に2曲歌うことになった星宮いちご. 美月はライブで常にスペシャルアピールを上限である3回出せる唯一のアイドルであり, いちごにも確実にアピールを出すための特訓を課す. 今までと違って苗字で呼ばれるなど, 美月の態度の変化に戸惑いを感じるいちごだったが, それは美月がいちごを同じ舞台に立つものとしていちごに本気で向き合いたいからだった. 新人であることを言い訳にしないことを決意したいちごであったが, 前日のリハーサルでは美月が3回出したアピールを1度しか出せず, スタッフからは「新人」という下駄を履いた上で好評を博していたこともあり, いちごは悔しさに美月の前で涙する. 悔しさを学んだいちごは本番にアピールを3回出せるよう練習を積むことを決意するのだった.


感想

今回はいちごが「悔しい」という感情を露わにしたはじめての回でした. 第2話の感想でも言及していますが, 私はいちごが悔しさをまだ知らないのだと感じていました. あるいは, あくまで目標はトップアイドルになることであって, それは個々のオーディションでの勝敗とは無関係であるから悔しさを感じる必要がなかったのかな, とも思っていました(それならだいぶ達観していますね).

今回は実際に目標とするトップアイドルと同じステージに立つことになり, しかも美月から同じステージに立つものとして対等に扱うという態度の変化(「いちごちゃん」から「星宮」に呼び名が変わったり)を示されます. その上で, 美月がいつものように繰り出した3度のアピールに対していちごは1度しか出来ませんでした. いちごも美月の期待に応えて彼女と同等のパフォーマンスをしようと努力したのにそのような結果になってしまい, しかも新人ということを言い訳にしないと決めたのにリハーサル後には新人という下駄を履かされて評価され複雑な思いを抱きます. ここでいちごは悔しさを滲ませ涙し, その姿を見た美月はいちごが「出来なくて悔しいと思う気持ち」を学んだと言います. 美月も私と同じようにいちごがまだ悔しさを知らないのではないかと思っていたのかもしれません(いちごに対して美月は競争を意識させるような発言をたびたびしていました, これはこういう感情を持って欲しかったからでしょうか). 美月は誰かに同じステージに立ってほしいという, トップアイドル故の孤独に悩んでいるような印象を受けます. 夜空に佇む「月」の孤独を連想させるようになっていますね. しかし彼女の「アイドルは常に前に進まなきゃ」と鬼気迫る表情と(第3話でも言及された)膨大な練習量からも, 彼女はトップアイドルであり続ける以上孤独を宿命づけられていると感じる所もあった. そこに光り輝く「彗星」のごとく表れた, スターの素質を持つ「星」宮いちご, 名前にそれぞれの運命が関係しているのですね. (「織姫」学園長もそうですが……)

しかし美月は「出来なくて悔しいと思う気持ち」を持ち続ける限り前に進めると言いますが, それは修羅の道だなと思います. 毎日悔しくて練習して, それでやっと何かが出来るようになると, また新たな, しかももっと難しい出来ないことが生まれる. 私はまだいちごが悔しさという事を学んで良かったのか分かりません, それは少なくとも私の取っては悔しさは成長の糧であった一方で疑いようなく私の性格を屈折させたからで, しかしきっといちごは悔しさも真っすぐ受け止めて成長できると信じていますし, 美月もそう感じているようです. いずれにせよどんどん成長を遂げているいちごのことですから, 悔しいと思うのは時間の問題だったでしょうから, 美月に指摘して貰えて良かったのでしょう. いちごがふだんから努力を重ねたからこそ, 美月と共にステージに立つアイドルとして抜擢され, リハーサルで「上には上がいる」という言葉が正しいことを自分の身を持って本当に知ることが出来たのですね1.

ところで美月がこういう修羅の道を生き抜くことが出来ているのは, 蘭がいちごに美月のファンクラブのコメントを見せたように待っているたくさんのファンが居るからかもしれません. しかしきっとそれだけではなく, 美月本人の堅い決意があるはずです. 美月本人のストイックな意識はどうやって, またなぜ形成されたのでしょうか. それには彼女が小学生だった頃の1年間のブランクが関係していると思うのですが, これについては後々明かされることになると期待しています.

17話以降も楽しみです. 果たしていちごは3回アピールを出せるのでしょうか……?


その他(箇条書き)

・雰囲気に気圧されるいちごに美月が冷たく「あいさつはどうしたの?」と言い放ちますが, 怖いですね……! 昔運動部に所属していた頃に先輩からこういう詰められ方をした経験を思い出しました.

・私は有名なアーティストのライブ等に行こうとしたことがないのですが, 5万枚のチケットが2秒で完売するというのは現実のトップアイドル(アーティスト)ならあるあるなのでしょうか? もっと前にアイカツ!を観始めていればアイカツ!のライブには行ってみたかったなと思います(後日, Blu-rayがあれば見てみたいですね).

・マネージャーの月影ほのかは久々の登場ですね. 今更ではありますが苗字の月影にも「月」がありますね.

・おとめ, 地獄の特訓もラブユー! 驚異的な守備範囲の広さ! (プロ野球春キャンプを報じる新聞風)

・スペシャルアピールってトランポリンで練習するんですか!? 驚きました…….

・アピールは「ドレスアピール」, 「タイプスペシャルアピール」, 「ブランドスペシャルアピール」, 「プレミアムスペシャルアピール」があるとのこと. ドレスアピールはコーデが良いと起こる演出でしょうか? タイプはおそらく「キュート」「クール」といった要素別にある演出でしょう. ブランドスペシャルアピールは美月が説明したようにブランドを揃えることで起こる演出, 後の一番難易度の高いプレミアムスペシャルアピールはプレミアムカードを使った際にある演出と想像します. アピールにも種類があるのですね(よく分かっていませんでした. 筐体にはこういう仕様があるのでしょうか? プレイしたことがないので分かりません).

・今回はいちごが美味しそうにご飯を頬張るシーンがなさそうだな……と思っていたら特大のオムライス! ノルマ達成です!


  1. (カス余談) 私には気力を出すときにはまず諦めから入る癖があって, 諦めることによって様々な事情や影響を無視して物事に取り組めるという意識があります. P-MODELのサイボーグという歌は陽気な曲調で「諦めに行こう」というフレーズから始まり, 古川日出男の南無ロックンロール二十一部経という長編小説の帯には「さあ, 地獄を行こう」と黒太文字で綴られ, 私はそういう「状況とは裏腹の陽気さ」を想像させる短い言葉たちを, それが歌われ語られた文脈とは切り離して捉えることで幾度となく自分を奮い立たせました. これが他人からの評価に対する固執を私から引き剥がす唯一の方法だったからです. しかしこの屈折は同時に私に相反しながら生きることを強制するものであって, いつしか悲しい結果を引き起こすことは分かっています. いちごが悔しさという感情を学んでゆく過程を見て, この屈折は私には不要であって, 実際に克服することが出来るのではないかという思いを持ちました. まず, ちゃんとそれぞれがどういう文脈にあった言葉なのか思い出す作業……. ↩︎

アイカツ