毎日アイカツ!「第2話 アイドルがいっぱい!」

(記事作成日時:2021-05-04 07:03:52 +0900 JST)

概要

晴れてスターライト学園に編入し, アイドル活動がスタートした星宮いちご霧矢あおい. 個性的な担任, ジョニー別府先生に告げられた初めてのオーディションは, 勝てば神崎美月の臨時マネージャーとしてトップアイドルの仕事を身近で学べるというものだった. しかし, オーディションの参加者はいちごとあおいの二人のみで, 勝者はどちらか一人. いつかこういった競争が起こると予期していたあおいに対して全く予期していなかったいちごは一瞬戸惑うが, 互いに健闘を誓い合う. オーディションではいちごが転倒するというハプニングもあってあおいが勝利し, いちごは真っ先にあおいを祝福した.


感想

余りにも眩しい.

まず, 第1話を視聴した時点で私が抱いていた印象が実際とは異なっていた部分があるのでその部分を訂正します. その誤解は私の個人的な経験を彼女たちに押し付けようとしたことから生じたものであり, 従って以下はそのことに関する私的な反省が含まれます.

・あおいの「アイドル博士」「アイドルのファン」としての側面が強調された前話を視聴後にはあおい自身がアイドルを目指す主体的な理由が見えていませんでした. というより, その理由が「ない」のではないかと予想していました. その点は大きな誤解でした. 大雑把には, 子供の頃にたくさんの習い事に忙殺されていた(それぞれの習い事を楽しんでいたようですが)際にぐうぜん, アイドルが溌溂と自由にライブをしている姿を見てアイドルに憧れ, 少ない自由時間でアイドルのことを調べ続け, いつしかアイドルを目指すに至ったということが今話で明かされました. 私も子供の頃に多くの習い事に忙殺されたことがあり, そこでたまたま野球を観戦し, 何か身体の持っているエネルギーを全て発散しているようなようすに感動して野球を始めたので, あおいがアイドルを目指した動機に非常に共感しました. しかしあおいと自身を重ねようとする意志は時として上記のように誤解を生むので(その誤解は私の主体性の無さをあおいにもあてはめようとした結果として生じました)自制します.

次に視聴した感想ですが, 今話のテーマは前話の感想でも述べたように親友との競争であったと思います. 今話においていちごは「一緒に(トップアイドルになる)」という台詞を繰り返しますが, その度にあおいが表情を曇らせたり, 美月がその思いが叶うとは限らないと諭したりします.

私はこの親友との競争というテーマが引っ張られ, オーディションで負けた一方が卑屈になって開き直るまでに1話を消費することを予想しましたが, その予想は全く的外れでした. 彼女たち(いちごとあおい)には, あくまで「トップアイドルになる」ことが目標であり, 途中に生じる一つ一つの勝負の結果には固執しない素直さ, 強さというものが備あるのです. あるいは, いちごの場合は, 雌雄が決した後に真っ先にあおいを祝福する様子からも, 「勝負に負けた時に悔しい」ということをまだ知らないのではないかとすら思えます.

しかし考えてみると, そういった素直さは本当は誰にでも備わっていて, ある期間ごとの人生を左右する(と吹聴される)競争を経て視野狭窄に陥り, 本来の素直さを忘却してしまっているだけなのではないか, とも思います. あるいは, 中途半端な, 悔いの残る努力をした結果として生じた燃えかす(起き有り, 起き得なかった, 行き場を失った可能性たち)がくすぶり続けて煙が心を濁らせてゆく, そういった印象も持ちました.

その夜に眠つけずに外を散歩するシーンでは, 「オーディションは楽しかったけど」と前置きしたうえで, あおいが美月のマネージャーになれて羨ましいという心中が吐露されます. ここも, 単純に悔しさを感じているか, というと少し違う気がします. その後, 東屋に美月さんが現れていちごの「あおいと一緒にトップアイドルになる」という言葉に, 今回のように一緒に上がれるとは限らないし, 勝者がいる以上敗者もいることを教えます. 美月の主張は正しいですが, それはやはり一つ一つの勝負についてであり, 目指しているトップアイドルが変わらない以上, (私は彼女たちの)友情も変わらないものと信じています. いちごは美月に「私, 頑張ります」と返答しました.

いちごについては, 彼女自身が何度も言うように「やる時はやる」, つまり完全燃焼を続けてきたので, このような素直さを保っているのでしょう. 今話で美月に負けて悔しい人がいることを教えて貰えて良かったかもしれません. 実際にはそのような素直さは中途半端を繰り返しても決して「失われる」ことはなく, 刀で言えば折れ曲がったのではなく錆び付いているだけだと思えました. 私は今まで, 「性格が捻くれる・歪む」といった言葉に囚われすぎて, 折れ曲がるというイメージを強く持ち過ぎていたようです.

3話以降も楽しみです.

(今話は共感する部分が非常に多く, 強く私的な感想となったことを反省します.)


その他(箇条書き)

・らいちはもう完全にあおいのファンですね!

・やる時はやるというのがいちごの口癖なのでしょうか?

・あおいは「アイドル博士」であって「アイドルオタク」ではないという感情があります. もちろん, オタクという言葉には文脈によっては差別的意味が含まれることもあって子供向け番組に登場する単語には(今は)相応しくないようで, その意味でもこのアニメであおいが「アイドルオタク」と形容されることはなさそうです.

・携帯電話がスマートフォンではない! 時代!

・あおいは筆記で一位, いちごは実技でスペシャルアピールをしたのでおそらく実技で一位ということなのでしょう. 編入試験の合格者は(前話の合格発表を見る限りは)いちごとあおい以外にもいたようですので, 二人がオーディションに参加する資格が与えられたのはそれぞれ一位だったから, という理由が妥当でしょうか.

・あおいは筆記もそうですが基礎体力も(いちごよりは)優れているということは, 前話の編入試験を控えた神社の階段走でも示唆されていましたが, 子供の頃からたくさんの習い事をこなしていたならば納得ですね.

・流石のいちごも対面では美月の事を「美月さん」と呼ぶのですね.


アイカツ