毎日アイカツ!「第22話 アイドルオーラとカレンダーガール」

(記事作成日時:2021-05-23 20:40:06 +0900 JST)

概要

星宮いちご有栖川おとめが主演する映画・おしゃれ怪盗スワロウテイル THE MOVIEが公開されることとなり, いちごと霧矢あおいは, 親友の紫吹蘭とおとめを加えた4人で変装して映画館に向かう. そこに偶然居合わせたいちごの弟であるらいちは, 変装を見破って4人に気付く. らいちはアイドルには特有の匂いがあるので居るのが分かったと言い, 順にあおい, 蘭, おとめそれぞれの匂いを説明するも, 姉であるいちごにはアイドルの匂いを感じないという. その言葉に触発されたいちごはオーラを出すための練習に励む. そんな中でいちごは映画の宣伝の為にラジオ番組に出演するも, 数万人のリスナーがいると知り緊張してミスを連発してしまう. しかしお悩み相談のコーナーでは, 常連リスナーであるらいちのお便りに自身の経験を交えてしっかりと受け答え, それを聞いていたらいちはいちごにアイドルの匂いを感じ取る. 毎日の自分らしいアイドル活動の積み重ねがオーラに繋がると気付いたいちごはオーラ全開であおいと蘭と公開ライブに臨んだのだった.


感想

今回はアイドルの匂い(=オーラ)に関する話でした. 再序盤から美月が登場する際には彼女の雰囲気が具現化したような演出がありましたが, あれはオーラと呼ばれるようです. いちごは観察していく内に自分以外の友人や美月からオーラを感じ取りますが, 自分のオーラを感じ取ることはできません. あおいと蘭はいちごのトップアイドルの素質のあるオーラを感じ取っているのですが, 自分では自分の魅力になかなか気付くことが出来ないのかもしれません.

いちごは周り, 特にあおいと蘭から何度も言われるようにいちごらしく居るだけで良いのですが, 他人のオーラを観察しているうちに自分らしさを見失ってしまいますが, ラジオ番組でらいちのお悩み相談があって自身の原点である美月への憧れを思い出して自分らしさを取り戻した, という流れでした. 他人の芝生は青く見えるとはよく言ったもので, 素晴らしい才能を持っている周囲の人々に憧れや焦燥, あるいは嫉妬を抱く気持ちも分かりますが, それを繰り返しているとどんどんと自分に対する焦点が合わなくなってゆきますよね. 今話でいうオーラは自分自身の今までの積み重ねに対する自負に他ならないという印象を持ちました. いちごはらいち(RN:ライチンゲール)のお悩み相談に「好きなことを追いかけたら, その先に見つかる夢もあると思います」と返答しますが, これこそいちごが今までのアイドル活動に全力を尽くしてその身で感じたものであり, オーラそのものだったのだと思います1. らいちがいちごにアイドルの匂いを感じ取ることが出来なかったのは, らいちがいちごに余りに近すぎて匂いに慣れていただけでしょうが, この部分はいちごがらいちから離れた場所で生活して得たものであったからか, らいちもちゃんといちごのオーラを感じ取っていました. 私は太線部のいちごの台詞が心に深く突き刺さりました. いちごはいつも迷走していても, 最後には自身の原点まで遡ることで立ち直ります. 私はどちらかというと原点に立ち返ろうとした際に生じる「無限に後退している」という感覚, そして周囲の人々の歩みから逆行しているという, 相対的に2倍の速度で離されてゆくという感覚, これを非常に恐れています. その恐怖を放置しているうちにあちらこちらに不完全な感情の煙が燻ぶることとなったのですが, 私は私のうちに行き場なく立ち籠めている煙たちを「私らしさ」とか「人間らしさ」と捉えるというねじれた視点を持っていました(し, 今も持っています). しかし今はもはや好きなことを追いかけてきたという唯一の自負にすら疑念が生まれているので, それはもう煙を天に昇らせなくてはならないということなのでしょうね. いちごの誠実さは私たちのの歪みをたちどころに暴く一方で, 余り感想を個人的な経験に帰さないようにという先日も思ったことが脳裏をよぎりました.

23話以降も楽しみです. 次回は蘭がメインですね!


その他(箇条書き)

・間違いなく穏やかじゃない!

(カス余談) ところで, もしアイカツ!の時間軸が現実のそれに沿っているのであれば, おしゃれ怪盗スワロウテイルはオーディションから僅か一週間で公開されたことになりませんか……?

・眼鏡を掛けた冬仕様のあおい(SO GOOD)

・らいちがアイドルの匂いがすると言って映画館を嗅ぎまわり, 母親のりんごに近付いたときにりんごは正体がばれたと思ったのではないのでしょうか?

・らいちがアイドルの匂いについて語った後にあおいが「正しい!」と反応するのですが, この「正しい!」という受け答えは私の周囲ではけっこう聞かれますが一般には余り無いものですよね. あおいの博士感がよく分かります.

・ラジオDJがいちごにマイクの穴の数の話をする下り, 何度聴いてもよく分からないのですがどういうことでしょうか(聴衆をじゃがいもと思うみたいな話ですか?). お悩み相談についてはその人と対話するように話せばよいから, 数万のリスナーがいることは意識する必要はない, ということかもしれません.

・ライチンゲールさん……姉にダジャレを読まれるのめっちゃ恥ずかしい…….


  1. 確かにラジオのお悩み相談で妥協を重ねた処世術を提示されても何にもならないような気がしますね. 自分に相談があるからには, 自分がそれを聞いて考えて答えるそれなりの意味があると相談相手は感じている, と思った方がどちらにとっても良いのでしょうね. ↩︎

アイカツ