2年生に進級した星宮いちご, 霧矢あおい, 紫吹蘭. スターライト学園に入学したばかりの1年生は分からないことだらけなので, 2年生が一人一人にトレーナーとしてアドバイスすることになっており, いちごは北大路さくらのトレーナーになる. さくらは人間国宝を祖父に持ち, 歌舞伎役者の家系に素だって幼少期からあらゆる芸事を身に着けた実力者だった. しかし既に有名な歌舞伎役者である双子の兄である北大路左近からはスターライト学園に入学し寮で一人暮らしを始めることを反対されており, 学園を辞めて家に帰らないのであればもはや妹ではないと言い放たれてしまう. さくらには既にウォーキングやコーデを選ぶ等の素養があり, いちごは先輩としてできることがないことを悩む. いちごはさくらが気丈に振る舞ってはいるものの今までずっと一緒だった兄と離れて不安であることに気付き, 部屋で不安に押し潰されそうになっているさくらに満開のさくらのライトアップを見せて自分がついていると勇気づける. 新入生のファッションオーディションでは惜しくも敗れてしまったさくらだったが, いちごに呼ばれオーディションを見てさくらが学園でもやってゆけると理解した左近と仲直りすることが出来たのだった.
「これ何?」「北大路劇場ですわ」
今回は新入生であるさくらがメインの回でした. さくらは人間国宝の祖父を持ち, 美月がその祖父に日本舞踊を教わっていた縁から美月とも入学前から知り合いで, あらゆる芸事に精通しており体力もあるなどとにかく大型新人です. それ故に新入生からもファッションオーディションの優勝候補として噂されており, 本人は兄のいない環境で大きなプレッシャーを感じていたようです. 確かにアイドルと芸事, もちろん共通する部分もあるかもしれませんが少なくとも彼女にとってアイドルは未知の世界で, アイドル活動とは関係の無い前歴でアイドルとしても高く評価されてしまうのは苦しかったのかもしれません.
そういう不安に対しては, 美月が言ったように傍にいてくれる人が居る, 「不安を感じている」と気付いてくれる人がいるだけで軽減されることもあります. 今回はいちごが美月にアドバイスされてその事に気付き, さくらに寄り添うことでさくらの不安も和らぎました. さくらは基礎能力が非常に高く, それに関していちごは教えることが無かったので, あおいや蘭が先輩らしい行動をしているのを見て焦ってしまいましたが, オーディション前に緊張しているさくらに声を掛けてあげたり, いちごも先輩として本当に頑張ったと思います.
またさくらと双子の兄の左近との確執については, やはり歌舞伎役者の家系である以上は定められた道というのがあって, 左近はさくらがその道を行くものと考えていたのかもしれません. 兄として子供の頃から妹を守って来た自覚のある左近からすれば, 妹がその道を外れてアイドルとして生きてゆきたいと一人で大きな決断を下したことに戸惑っていたのではないかと思います. さくらのオーディションを見て妹の成長に理解が追いついた感じでしょうか. それにしても言葉の端々からさくらの並大抵ではない決意が読み取れます.
27話以降も楽しみです. (今回は以下が長いので感想は少なめにします)
・OPとEDが変わりました.
・(OP) サビ前で皆が口をwowwow動かしているところが可愛い!
・(OP) ところで赤髪のボーイッシュな女の子はいつ登場するのでしょうか……?
・(OP) ジョニーのブレイクダンスの作画が凄い.
・「新入生一人につき先輩一人がつく」という制度はおそらく最初の一ヶ月等の期間限定で, だからいちごとあおいは知らなかったのでしょうね.
・ところで, スターライト学園には進級によるクラス替えはないようですね.
・蘭がトレーナーになった1年生, サッカーでもやっていそうなヘアバンドを着用していました.
・「わたくしもう13歳ですのよ?」……………….
・しらざあ言って聞かせやしょうって, 弁天娘女男白波? (ヒプノシスマイクも頭に浮かびましたが……)
・さくらはルームメイトと余り馴染めていなさそうですね……
・(ED) 石川さんのデフォルメされた女の子の作画が最高
・(ED) いちご-美月, 蘭-乙女, あおい-(赤髪の女の子), ユリカ-さくらのペアで現れるシーンがありますが, このペアには何か意味があるのでしょうか……?
・(ED) 歌詞が恐ろしく良いですね. 「スターくるくると求められるものも変わる」というのは天体(あるいは星座)の運行にアイドルの流行り廃りをなぞらえたものと思いますが, 当たり前かもしれませんが余り考えなかったことでした. 例えばスターライト学園の生徒の中には, 一度は一世を風靡したものの, 今は人気が落ちてしまって事も減っている, という境遇のアイドルだっているのですよね. この歌詞を見て, 主要キャラで言えばユリカはその強烈なキャラで人気を博していますが, アイドルの多くはそれぞれ強烈な個性を持っているので, その人気がいつまで続くのだろうかと思ってしまいました(もっと言えば彼女を"イロモノ"と認識している層はだいたい常に強い刺激を求め続けているでしょうし, 目移りが早いと推測します). アイドルはいずれそういった不遇の時期に直面することになるということまで考えさせられる歌詞です. 世の中が彼女たちを消費するからこそ新たなアイドルが生まれる(求められる)のでしょうし, この飽く無き食欲と飽食の時代がアイドルとしての彼女たちを生かしている側面もある, これは不可分なものであるという感覚もあって複雑な気分になります.
・(ED) 蘭とユリカが手を繋いで眠る(感謝)
・(ED)「自分の事を甘やかしたら全部見抜かれてしまうよ」という歌詞からはじめはアイドルが他人から評価されることを宿命づけられていることを切に感じましたが, これは必ずしも他人に見抜かれるといっている訳ではないと思って考え直しました. 自分の努力や怠惰を全部見抜くことができるのは誰かというと, まず第一に自分自身だと思います. 「自分を甘やかしている」といけない行為であると自覚しつつ行う, そういう感情と行動の不一致はひとのなかに不燃の塵として堆積してゆきます. そういうものは自分から意識的に他人に明かすことはありませんが, 普段の何気ない所作からも滲み出てしまいがちです. アイドルのように他人から常に見られる職業であればなおさらで, 結果として自分にも他人にも見抜かれてしまうことになるのかもしれません.