フレッシュガールズカップの準決勝を翌日に控えた星宮いちご, 霧矢あおい, 紫吹蘭の3人は, 緊張して眠れずにあおいの持っていた月刊美月で神崎美月の情報収集を始め, 美月のためのドレスブランド・LOVEQUEENが新たに作られることを知る. 翌日, ギリギリまで一緒に練習しようと基礎練習を重ねる3人だったが, 休憩の合間にあおいが月刊美月に「アイカツの特訓は基礎的なことも大事だけど自分に合った特訓を見つけるのも大事」とあるのを見つけ, あおいは図書館で過去のフレッシュガールズカップの資料を研究に, 蘭はウォーキングの練習に向かう. いちごも自分なりの特訓を探そうと悩んだが, けっきょく考えて立ち止まるより突っ走ろうと決意する. 準決勝ではいちごが3回のアピールに成功して勝ち抜き, 美月との決勝戦に挑むことに. 決勝戦, 美月はプレミアムレアカードを使わずLOVE QUEENの新たなカードを使い, いちごはプレミアムレアカードを使ったが惜しくも敗れてしまう. 決勝の興奮冷めやらぬなかで寝付けないいちごが学園の東屋に行くと美月が待っており, 今の自分といちごとの関係は確かに月とスッポンであるとしつつも「(スッポンのように)このまま私に食らいついてこられるなら, あなたは太陽になれるかもしれない」と告げたのだった.
あおいはいけない刑事で女優としての道も歩み始め, 蘭は以前からモデルに比重を置いて活動しています. それぞれが個性を活かした活動を始めてゆくのを見て, いちごはわが身を振り返ります. しかし結局, いちごのいちごらしさは自分を振り返ることなく目の前のことに没頭できることにあるのだと(私は)思います. 今までを通じて, いちごが悩んでいるシーンはだいたい「他人はこういうことをしていた, では自分はどうだろう?」と自分と他人を比較する問いかけから生じていて, いちごはその問いに対して満足の行く答えを見つけることができずに自身のなにもなさを感じて苦しみます. おそらくいちごは上に述べたように自分以外のものに強く没頭することのできる気質なので, 没頭と没頭の合間の, 我に返って頭がじゅうぶん冷えている状態との落差は時として辛いのではないかと想像します.
いちご自身は, そういう合間の「自分で考えている」時に自分らしさを発見したいのではないかと思いますが, 皮肉にもいちごの「らしさ」は彼女が我を失って一つの物事にのめり込んでいる時, つまり「自分で考えていない」時にこそ発揮されているものなのです. いちごは今話で涼川との会話を通じてその事に気付くことができ, また一つ吹っ切れたように感じました.
ところで準決勝で惜しくも敗れてしまったあおい(と蘭)ですが, あおいはいちごが(自分より)高いレベルで悩んでいるのではないかと感じており, どうにかいちごの力になれないかと切に願っています. この話は第17話でいちごが1回に3度のスペシャルアピールをしなくてはならない場面でもありましたので, 詳しくは第17話の感想をご参照ください. いちごが決勝戦で敗れた後に寝付けずに部屋を後にした際, あおいは「何でも聞くからね」と枕元に書置きを残します. 自分が準決勝で敗れたことでいっぱいいっぱいにならず, いちごのことまで気に掛けることができる優しさであったり, 一緒に上がってゆけるとは限らない世界で, 自分より一歩先で悩んでいるいちごにどう声を掛けて良いか分からず悩んだりする等身大のあおいはとても魅力に溢れています. おそらくですが, あおいは自分の悩みはほとんど包み隠さず親友であるいちごに打ち明けているのではないかと思います. 一方でいちごが自分に抱えている悩みを打ち明けていないのではないかという疑念を持っていて, 多少の戸惑いを感じているように見えました. あの書置きは, いちごの事を本当に思いやっている一方で, そういうあおい自身のもやもやとした感情のあらわれとも受け取れました. このアイカツ!世界で群を抜く等身大さもあおいの魅力だと私は思います! (いちごはその吹っ切れ方がその年に相応しくない人離れした達観を感じさせます)
29話以降も楽しみです. 次回はあおいが先生に!?
・蘭ユリが今日も元気だご飯が美味い
・あおいはアイドルの写真を表情ごとにフォルダに分けて保存しているのですか……?
・月刊「美月」, 恐ろしいですね. 現実のアイドルで, 月刊でその人のためだけの雑誌が刊行されているひとっているのでしょうか?
・スッポンという生き物を知っていてかつ月とスッポンということわざを知らない状況は珍しい気がします. ところでスッポンはふつうの川にも生息していて, 京都では哲学の道でも複数回見かけたことがあります.
・眠れずにやってきた蘭の枕(とブランケットでしょうか)がはじめいちごのベッドに置かれていたので, いちごと蘭が同じベッドで眠るのかと…….
・木に縄を括りつけて引っ張るトレーニングのシーンで蘭が「これアイカツか?」と言うと予想しましたが外れました.
・涼川は食料品の買い出しに出かけていたようですが, いったい何のためでしょうか? (牛乳や野菜を勝っていたようですが, 学園の業務なのでしょうか?)
・表情を変えず土煙を巻き上げながら走るいちご, 怖すぎる.
・2人の事を気にしてしまって集中ができなかったと言う蘭の表情の変化が豊かで微笑ましいです(眉の角度が自在!).
・いちごと蘭のモグラたたきと言い, 今話の練習シーンは謎の練習が多かったですね…….