世の中がTristarの話題で持ちきりのある日, スターライト学園の学園長は会見で新たなユニットを結成することを発表する. そのメンバーは星宮いちごと霧矢あおいであることも合わせて発表される. さっそくインタビューを受けるいちごのニュースを見た親友の紫吹蘭は複雑な表情. さっそくTristarにも引けを取らない多忙なスケジュールをこなすことになったいちごとあおいは, 学園長からまずユニット名を決めるように支持される. ユニット名はフランス語で太陽を意味するソレイユ」に決まり, いちごとあおいは真っ先に蘭にメールでユニット名を伝えた. その後, 大阪にてTristarはぐうぜんソレイユと同じスタジオで収録を行うことになり, 美月は収録が早く終わればいちごとあおいに会えるかもしれないと蘭に提案するも, 蘭のミスによって収録が長引いてしまい2人と入れ違いになってしまう. 2人のことを思って寂しそうにしている蘭をずっと見ていた美月は, 蘭が2人のもとにいたほうがより輝けると考えてTristarを抜けて2人のもとに行くようメールする. そしてソレイユのデビューライブ直前のインタビューに蘭が乱入し, 報道陣の前でTristarを脱退してソレイユに加入することを電撃発表する. そしてソレイユのデビューライブは大成功に終わり, いちご, あおい, 蘭の3人は再び一緒に頑張ることを誓うのだった.
この展開は予想されたものでしたが, しかしかなり急に物事が決まって驚きました. 大阪でのライブを蘭抜きの2人で行うことにした美月の決断力が凄いですよね. おそらくソレイユのデビューライブに間に合うように強引に調整したのだと思いますが, 自らはTristarの3人を楽しみにしていた大阪のファンたちから批判されることを覚悟して蘭の背中を押してあげようという姿勢が見えました. たぶんメールの文面にもあったように「自分の夢」に蘭を無理に付き合わせてしまったという罪悪感が美月にもあったのだと思います.
その前にも美月は蘭を気遣って「大丈夫?」と言っていましたが, おそらく美月からすれば最後通告と言うか, 「大丈夫ではないこと」が明らかなので蘭に自分から悩みを打ち明けてほしいという暗黙のお願いだったのでしょう. 一方で蘭の側から見ると, あの美月から大丈夫かどうか聞かれたのですから大丈夫と答える以外ないだろうと蘭に同情します. 現代ではモラルハラスメントという言葉が流行っていますが, 立場が上の人は, 例え自身にその立場の差を利用しているという意識がなくともその差が現にコミュニケーションを阻害しているということだけは自覚してほしいものです. しかし美月だって蘭と同じようにトップアイドルである自分に憧れすら抱いている蘭に対して同じユニットの対等なメンバーとしてどうコミュニケーションを取れば良いのか必死に悩んでいたのではないかと思います. 本当はその差は勇気を出してひとっ飛びで超えるようなものではなく, 会話を重ねてゆくうちに相手の考えることが何となく分かってきて, 悩みそうなことも予感できて, それから悩みを共有することで埋められるものだったのかもしれませんが, Tristarにそんな時間的余裕はありません. バスでの移動中も何となくお互いが休めるように気遣ってか会話が少なげで, 席も蘭が孤立したりして隣同士ではありませんでした. そういう状況だったので, 最終的には美月は一旦は自分の理想とするユニットを作ることを諦めて蘭の希望を優先させました. 大人ですね.
美月はもしかしたら蘭の弱い部分を見るのが初めてだったのかもしれないとも思います. いちごやあおい, あるいは視聴者からすれば蘭の色々な一面を知っていますが, 美月の前ではいちごやかえでなど限られた人を除いては決して自然体では居られないと思いますし, 美月はみんなの頑張っている(ある意味では取り繕っている)姿しか見させてもらえていないのではないかと感じました. ふつうはトップアイドルの前では恥ずかしくない, 良い自分を見てほしいと思わずにはいられないのではないでしょうか. 今度こそファイナルオーディションの公開面接でも蘭はいつものように凛々しく, まさに美月が理想とする「強い個」を持っているように映りました. しかし実際にTristarのメンバーとなって, 自然体では居られずにずるずるとパフォーマンスが落ちてゆく蘭を見て, 美月は自分に責任があると思ったのでしょう.
いま考えてみると美月の求む「強い個性」というのは自分の前でも自然体で物怖じしないということだったと考えれば合点がゆきます1. もちろんいちごのようにそれを天性ですでに身につけている人もいるかもしれませんが, そういう自然体はいちごとあおいが蘭が素顔を見せるようになったように, メンバーのみんなで引き出してあげるものなのかもしれません. 今回は蘭の脱退という結果になりましたが, 欠員の補充もあるかもしれませんし, または別のユニットを作ることだってあるかもしれないので今度は美月がメンバーの(あるいはメンバーが美月の)自然体を引き出してあげられると凄い良さそうですね. そうすればきっと美月が望むようにお互いに高め合うことができると信じています.
個人的には美月のオフの話があったりしないかな~~とか期待しています!
38話以降も楽しみです. ソレイユのリーダー……いったい誰に?
・真面目な回は箇条書きが少なめという法則があります.
・ジョニーのムーンウォークのSEが間抜け過ぎる
・棺桶のなかから全力で応援しているユリカ, 想像すると面白いです
・かえでの貴重な関西弁シーン! ところで私も京都にいながら大阪らしい大阪(?)には一度も行ったことがありません. 山ばかり行っているからですね…….
・スケジュールが30分刻み……!
一方でもしそうならば最後のメンバーには蘭ではなくいちごを選ぶのが自然になりそうです. しかし美月はこれまでの回で太陽と月の比喩を重ねていることからも分かるようにいちごとは進んで同じユニットにならないことを決めていそうです(ライバル視とはまた違うかもしれませんが, いちごを高く評価しているからこそメンバーに選ばなかったという気がします). もしかすると美月はいちごが新たなユニットのメンバーとなることを予感していたのではないでしょうか? ↩︎